赤﨑 勇先輩の訃報に接し

4月1日、突然赤﨑勇先輩のご逝去の報に接し、あまりにも突然のことで驚き以外言葉がありません。

私たち旧制二中、甲南高校卒業生にとって、九州からはじめて赤﨑先輩がノーベル賞受賞の栄を受けられたことは、先生の学ばれた時代と学び舎を同じくする後輩にとって大きな誇りです。

先生の偉業を後世に伝えたいという同窓生の思いを形にするために、先生のお許しをいただき、藩校造士館の伝統を受け継ぐ甲南高校の正門を入ったところにノーベル賞受賞の顕彰碑を建立し、受賞翌年の2015年6月25日、先生ご夫妻にご臨席いただき除幕式を行うことができました。当日は大変な雨だったことが今も鮮やかに思い出されます。

今も同窓会の会議等で夜間母校に伺うことがありますが、顕彰碑は先生が発明されたLEDライトにより、闇夜でもその存在をくっきりと浮かび上がらせています。

先生のノーベル賞授賞式には、当時日本化学会の常務理事をされていて授賞式にも同道された23期の川島信之さんから、後日、授賞式前後のセレモニーや行動等を詳しく伺ったことが懐かしく思い出されます。

先生のノーベル賞受賞の顕彰碑建立に際しては、2回ほど名城大学の関係者との打合せで大学に伺いました。その2回目でしたか、短時間なら先生とお話しできるという機会をいただき、その時同道していた久保副会長共々研究室に伺いました。事前に十数分という制限付きの面会でしたが、二中時代の思い出で話が盛り上がり、はるかに時間を超過し、約1時間お話を伺うことができました。

先生との話が終わり研究室を退出する際、出口まで見送ってくださったばかりか、私たちが廊下の角を曲がるまで研究室の前で見送ってくださいました。あのときの光景、感動は生涯忘れることはないでしょう。

私たち後輩の訪問に対しても、ノーベル賞をはじめ数々の有力な賞を受賞されていらっしゃるにもかかわらず、真摯にそして謙虚に対応をしていただけたことは、今でも素晴らしい思い出ですし、お話をした中で、研究者として生涯をすごされた先生の滾る情熱を身近で感じられたことが大きな思い出となって残っています。

先生のお話を伺う中で、人の生き様というか、奢らず高ぶらず真摯に生きなければいけないという一番大事な部分を改めて教えていただきました。有難うございました。

今や世界中でLEDが照明の主役として活躍しています。まだまだ紛争の絶えない世界ですが、先生の発明によるLEDで何時か世の中の暗い部分を明るく照らし、暗黒なき世界が生まれることを期待しています。

長年に亘り人類の発展にご貢献いただき本当に有難うございました。これから先生に負けない活躍をする後輩が生まれてくることを大いに期待したいと思いますし、私たち後輩にチャレンジする心を、そして大きな夢を与えてくださったことに心から感謝申し上げます。どうぞ安らかにお休みください。

 

2021年4月3日

鹿児島県立甲南高等学校同窓会 会長 石田新憲